飛行機の中で起こったまるでドラマのような出来事 後編

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体調を崩していたのは
初老の日本人女性。
夫婦でニュージーランド旅行に行った帰りだ。
お医者さんとの間に入って
しばらくやりとりしているうちに
女性は少し落ち着いてきた。
要するに前の晩あまり眠れなかった上に
慣れない飛行機に乗ったので
気分が悪くなっただけのようだ。
とりあえず一安心。
お医者さんは、
じゃあ安静にしていてください。
 水分補給を忘れずに。

と言って元の席に戻った。
実は以前から、
万一こんな場面に出くわしたら
確認したいと思うことがあった。
乗務員がこの後
どんな対応をするかだ。
こういった場合の
謝礼をどうするのかについては
特に決まりがないらしい。
ただ、聞いた話では
航空会社が後日
何らかの対応をするとのことだ。
ある航空会社は
そこが保有する最高のワインを贈るとか、
また別のところは
タダで飛行機に搭乗できるクーポンを届けるとか。
見ると、乗務員が医者の所に行き
一通りのお礼を言った後で
住所を聞いていた。
そしてその後。
なんと乗務員がこちらへ向かって来るではないか。
これは、もしかして。
どんな謝礼があるのか
身をもって体験できるのではないだろうか。
などと思っていると、
彼は満面の笑みで右手を差し出し
ありがとう。助かりました。
と言って、握手をして去っていった。
住所はおろか、
名前も聞かれなかった。
そのまま飛行機は
シンガポールのチャンギ空港へ。
いいのだ。
別に航空会社からのプレゼントなんて欲しくない。
その後
広い空港でたまたま再会した老夫婦が
丁重にお礼を言ってくださった。
『いやあ、当たり前のことをしたまでです。』
 と発言する

という夢が叶ったから、それでいいのだ。

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6 Responses to “飛行機の中で起こったまるでドラマのような出来事 後編”

  • 2006/06/22 21:43

    プレゼントがあるんですね☆
    知りませんでした。
    それに、そんな珍しい経験をするなんて♪テレビでしか見たことありません。
    それにしてもそのセリフ、かっこいいなあ・・(^^)

  • 2006/06/22 22:09

    > iroenpitsuさん
    「らしい」というだけですよ。
    結局自分で確認することはできませんでしたから。
    一生に一度は言ってみたいセリフってないですか。
    私は「犯人は…この中にいます。」
    って言ってみたいです。

  • くみ

    2006/06/23 00:23

    「医者」と「通訳できる人」って 対応が違うの?
    案外 航空会社も たいしたことないんだなぁ。
    って 思っちゃいました。
    ドラマの設定って 本当に出合ったりするものなんですね。

  • 2006/06/23 00:32

    > くみさん
    対応が違うというか、
    医者にはこれこれこういう対応をしなさいという
    前例をふまえた指示があるのかもしれませんが
    英語が喋れない日本人と医者の間に入った人に
    こういう対応をしなさいというのはないんじゃないでしょうか。
    言葉が通じにゃどうにもならんじゃろうとは思うんですがね。

  • 2006/06/23 08:10

    飛行機という密室での出来事
    ふと思ったんですが
    「日本語が分かる方」
    というのは見えないカッコの中に
    (なおかつ英語もペラペラな方)
    という言葉が含まれていたんですよね?
    ・・・(´-`).。oOマスナガさん素晴らしい
    私がもしその便に乗り合わせていたら、
    (見えないカッコ)が本当に見えない可能性大で
    なおかつ赤っ恥をかく出来事として日報に
    綴ったことでしょう。

  • 2006/06/23 09:37

    > ファイキンちゃんさん
    大丈夫。もしわからんでも、
    わかったフリして適当に振る舞ってりゃなんとかなります。
    日本語でも、相手の発言がよく聞き取れんときに
    聞こえたフリして適当に流すことないですか?
    この場合は人の命がかかっとるかもしれんかったけえそうもいかんか。