ブログ記事による宣伝の効果とそれに対する報酬について思うこと

ペイパーポストでページランクがどうたらいう問題は置いといて。

ブログに書いた記事の報酬として
金銭を受け取ることが悪いとはこれっぽっちも思わない。
それが商品やサービスを宣伝することの見返りである場合は
「これは広告です」と明示するようにはしてるけど。

ともかく好ましいとかいかがなものかとかそういう問題ではなくて、
純粋にその企画の効果を考えた場合
お金を渡して書いてもらうよりいい方法があるんじゃないか、
という話。

2つのカメラ試用レポート

コンパクトカメラを実際に使ってみて
そのレポートを書くというのを2回やったことがある。

1度目は Nikon の S50c のときで

2度目は CASIO の EX-400Z のとき。

どっちもブログを使って商品紹介をするという企画だったんだけど
自分の中でのモチベーションが全然違った。
どっちのカメラが好きかとか
とっちがより素晴らしいかという問題ではなくて。

S50c のときは、モニターしたカメラはそのままいただけた。
記事に対する金銭での報酬はなし。

EX-Z400 のときは、カメラは要返却。
ただし記事に対して金銭での報酬があった。

どっちがよりやる気出たか、あるいは参加して面白かったか、
そして人から関心を持ってもらえそうな記事が書けたかというと、
もう断然前者。

商品の価値や金額の問題ではなくて、
もっと簡単な理由。

それが自分のものになるから。

「それがある生活」を書けるか

「ドリルを買う人が欲しいのはドリルではなく穴である」
というのと同じで
カメラを買う人にアピールすべきはカメラそのものの機能や性能ではなく
そのカメラを持つことでどんな生活が待っているかだと思う。

実際に使ってみれば
機能や使い勝手を紹介したり
良い点や残念な点を論じることはできるけど、
どうせモニター期間が終わったら返すことになる商品について
「それがある生活」を自分のこととして書くことができるだろうか。

その商品を実際に自分のものとして使い、
それからずっとおつきあいしていくという前提だからこそ
こんなこともできるかな、あそこにも持って行こうかな、と
いろんな思いを巡らして書くことができるんじゃないだろうか。

そして他の広告媒体ではなくブログを使い、
プロのカメラマンではなくカメラ素人のブロガーに言わせるメリットも
そのへんにあるんじゃないかと思う。

でも買ってないよね

ただそれを言うなら
商品をもらえるというのでも少し弱いかもしれない。
もらった商品では、実際に懐を痛めて買った人の気持ちにはなれないから。

じゃあ買った人の中から
モニターをお願いすべきブロガーを探すのかということになると
これもなかなか難しい。

逆に「宣伝手伝ってくれる人募集。まずは買ってから来てね」
というわけにもいかないだろうし。

もうひとつのやり方

そのへんのバランスを取る試みとして
面白いなと思ったのがこれ。

ハイビジョンサウンド会議での試行錯誤(ブロガーイベントはどうあるべきか?) – IDEA*IDEA ~ 百式管理人のライフハックブログ ~

今回一番試行錯誤したのがこの企画・・・。モニタープログラムというと「あげるからモニターしてね」「一定期間貸し出すのでモニターしてね、終わったら返してね」という形式が主流ですが、今回は「一定期間貸し出すのでモニターしてね、そのあと気に入ったら割引価格で買ってね」という形式にチャレンジしてみました。

モニターした機器を全員プレゼントでも全員返却でもなく
希望者は割引で買えるという選択肢は新しいんじゃないだろうか。
報酬ではなくて特典ですね。

これなら

  • それが自分の生活の一部になることへの期待感
  • 自分の財布からお金を出して手に入れる人の気持ち
  • 参加ブロガーとしてのメリット

あたりの要素を混ぜ込むことができる。

じゃあこれが解決策になるかというとそうでもなくて
買わない人にとっては結局「一定期間貸与後要返却」と同じことになるので
「それがある生活」の記事にはなりにくいかもしれない。

また、企画の効果について考える上で
やはり価値ある記事には何らかの報酬を提供すべきだ
という考え方も間違ってないと思う。
魅力的な報酬があるからこそ
価値ある記事を書ける人が集まる可能性が高まるということも
否定はできないし。

あと参加者に飲みの席か何かで聞いてみないとわからないけど
「あんだけ絶賛しといて買わないのかよ」と読者に思われないだろうか
みたいなプレッシャーがなかったろうか、ともちょっと思ったり。

というわけで

なかなか結論には至らないんだけど
ともかくブログマーケティングって言うんですか、
こんなふうにメーカーがブロガーと協力して
商品やサービスの良さを伝えようというような企画をやるとき
ブロガーになにがしかを提供するのなら
金銭を渡すよりずっと効果の高いやり方があるんじゃないかと思う。

いやもちろんいただける金銭は素直に頂戴しますけどね。

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One Response to “ブログ記事による宣伝の効果とそれに対する報酬について思うこと”

  • 2009/03/19 23:51

    種類としては少し違うかもしれませんけど、私がマスナガさんちのプレゼント企画に応募したのも、金銭ではなく、「あれらの本を読めるから」という動機のほうが大きかった、というかそれだけでした。
    「読んだ方がいいんだけど、自分ではなかなか買えない = 選べない」そういうカテゴリの本ってけっこうあって、先日の企画はそんな私にはちょうどいいキッカケになりました。
    プレゼントでもモニターでも、ユーザーにとって「今までなかった新しいもの」という存在になれれば、マーケティングとしてだいたい成功なんじゃないでしょうか。
    ちなみに、『社会保険・年金のキモが2時間でわかる本』は今、この春から大学生になる長男が読んでます。