突発性難聴の発症から回復までの経過と、やったこと、考えたこと、お伝えしたいこと

4月の中頃に、突発性難聴を発症しました。

結果から言うと、
今は回復して特に問題ないところまで落ち着いてます。

ただこの病気は原因不明で確実な治療法もなく
治ることもあれば治らないこともあるみたい。

そして取るべき対応を知っているかどうかで
回復に大きな違いが出るようなので、
発症からおおよそ落ち着くまでの経過をメモしておきます。

医療に関わることなので、もしこれを専門家の方が読んで
何か言葉の使い方や理解の間違に気づいたら教えてください。

発症

朝おきたら左耳に高音の耳鳴りを感じました。
なかなか文字にはうまく表せないんだけど
これまで経験のないような音の質と大きさ。

ただ耳鳴りというもの自体が初めてなわけではないし
それ以外には何も異常がないのでしばらく様子を見ることに。

後日、この判断は大きな間違いだったと知ります。
この病気は、様子を見ちゃダメなんだ。

数日後

3日ほどあけても、耳鳴りは治まりません。

また、歩いたり机に向かってパソコンをつついたりしていると
どうもふわふわというかふらふらというか
何だか水平が落ち着かない感じ。
「浮動感」と呼ぶらしいあれを感じるようになりました。
落ち着かないので少し気分がわるい。

めまいというほどではないけど、
そのまま行動を続けるには少ししんどいので
座ったり横になったりしてしのぎました。

病院へ

これはさすがにおかしいと思って病院へ行きました。
「耳鳴り」をキーワードに、通える範囲にある耳鼻科を検索して。

そこで諸々の検査を受けた結果
「突発性難聴」という病名がつきました。

聞こえにくいという自覚はなかったんだけど、
検査の結果としては左耳で高音の聞こえがよくない。
突発性難聴から、耳鳴りやめまいが発症しているのではないか、という話でした。

突発性難聴で用いる薬として
ステロイドの錠剤を中心とした投薬を受けました。
週末これで様子をみてください、とのこと。

転院

症状に変化がないまま週が明けて、再度病院へ。
検査を受けたけど、数値に改善は見られず。

ここで他の大きな病院へ移ることを提案されました。

ステロイドは経口での服薬と点滴での投与ができるんだけど
この病院には点滴をする設備がなく、
また大きな病院の方がさらに詳しい検査もできるから、とのことで
紹介状を書いてもらって自宅から近くにある少し大きな病院へ移りました。

こちらでさらに詳しい検査を受け、治療を継続。
後述するような理由もあって「継続」というより「やり直し」という感じだったけど。

なお、聴覚検査では左耳で一番高いとこの音だけが聞こえにくく、それ以外は正常。
めまいの検査では特に異常なしとのことでした。

点滴

こちらでは最初の5日間は点滴を受けました。
ステロイドが入ったものとビタミン剤が入ったものの2種類をあわせて1時間半。

実際には点滴の方が経口での服薬より効果が高いというデータはなくて
どっちを選んでもいいですよ、とのことだったんだけど
「でも何か点滴の方が効きそうな気がしません?」と言われて
確かにそうだなと思ったので点滴でやってもらうことに。

「何かこっちの方がよさそう」というのは重要。
万一あとで思わしくない状態になった場合に
「あのときあっちにしておけばよかったのでは・・・」と思うと
何かに対して悔恨の念が残ってしまうので、
「よりよさそうな方を選んでの結果なんだから仕方ない」
と思えるようにしておくことはだいじだと思います。

服薬

点滴の期間が終わったらステロイドの錠剤を服用するようになりました。
こういう場合のステロイドは最初多めに入れて
あとから少しずつ減らしていくものみたいです。

最初は効果を得るため大量投与するんだけど、
そうすると本来身体で生成されてるものが作られなくなるから
急にやめたら体内にまったくない状態になっちゃう。
そのため、時間をかけて少しずつ減らしていくようです。

この、減らし始めの時期の1日分が
最初の病院でもらった初日分の1日分より多かった。
これ最初の病院ではかなり控えめに処方されてたんじゃないかと思います。

早い段階で多く投与するのが重要との話なのに
何やってくれてんの、とちょっと思いましたよ。
大きい方に転院してよかった。

MRI 検査

聴覚神経のどこかにできものでもできてたら
それが原因で耳鳴りが出ることもあるので
そうなってないことを確認するため MRI の検査を受けました。
検査料++

結果、特に問題なしとのこと。まあよかった。

鍼治療も受けてみました。

以前友人が勤めていたところを紹介してもらい、
また鍼は経験済みだったので
リラックスして受けることができました。

実際に何が効いて回復できたのかを検証することはできないんだけど
それぞれの治療が複合的に効果を出してくれたんだと思います。

もちろん、素人判断だけで治療を組み合わせるのではなく
そこは事前に相談してからがいいと思います。

一番辛かった症状

キーンという高音の耳鳴りももちろん辛いんだけど、
それよりきつかったのは次の2つの症状です。

音程が左右で違って聞こえる

発症から1週間ぐらい経って気づきました。
右耳と左耳で、聞こえる音程がずいぶん違う。
常に不協和音が聞こえてくる感じです。

これはきつかった。音楽を聴いても常に不協和音。
このまま治らなかったら自分は一生音楽を楽しめないのだろうか、と思いましたよ。

高い声が2回聞こえる

2回聞こえるというのは、日常感じる「響く」というのとは違います。

目の前で女の子が喋っているとすると、
正面から普通に聞こえてくる声と別に
左耳の耳元にもうひとり小さいサイズのその人がいて
そこで同じ言葉を繰り返しているような聞こえ方。

これは「聴覚補充現象(リクルートメント現象)」と呼ばれ
難聴に伴う症状のひとつとして起きるようです。
ちゃんと名前がついてた。

回復

治療を開始してから10日ほどで、
耳鳴りが少しずつ気にならなくなってきました。

感じる音が小さくなったことより、
鳴ってることを忘れる時間が出てきたことの方が
治ってきていることを感じさせました。

ふと気づくとやっぱり鳴ってるんだけど
最初はもう四六時中気になって仕方なかったから。

それから日を追う毎に音は気にならなくなり、
3週間ほど経ってからの聴力検査では
右耳や、左での他の周波数の音には追いつかないものの
高音の 8kHz の音も 20db 程度の聴力に戻っており
平均レベルにはなっているとのことでした。

何をもって「治った」とするか

この時点で、上述のように
確かに発症した左耳の高音は他と比べれば聞こえがよくないんだけど
そもそも発症前はどうだったのかがわからない以上
治ったか治ってないかを判断することはできませんね。

こうなるともう自分で納得できるかどうかにかかってるんじゃないかと思います。

  • 不快な耳鳴りを感じることがほぼなくなった
  • それに伴う聴覚現象を感じなくなった
  • 聴覚検査でほぼ正常な範囲に戻った

治ったと思います。

お伝えしたい、大切なこと

いま一番お伝えしたいのは、
この病気は初期対応がものすごく重要、ということです。

今回受けたステロイドを中心とする治療は
「効くかもしれないし効かないかもしれない」んだけど、
もし効くタイプであっても発症から1週間以内に開始することが大切で、
2週間すぎちゃうと効果が出る可能性がかなり低くなるみたい。

この薬に限らず、突発性難聴は時間が経っていったん症状が固定してしまうと
なかなか治らなくなっちゃうようです。

だからこれを読んでる人、
ちょっとでも聞こえにくさや普段と違う耳鳴りを感じたら、
全速力で病院へ駆け込んでください。

この病気は、時刻を特定できるほど突然襲ってきます。
夜に発生したら、一晩寝て治らなければ朝イチで。
昼間になったらその足ですぐに。

ただの風邪や勘違いだったらその方がいいじゃないか。
デートの約束も仕事のノルマも後から何とでもなる。
とにかく即座に病院へ。

いま同じ病気で苦しんでる人やいつか発症してしまった人が
あの不安で不快な日々から解放されますように。

追記

1年後の経過を書きました。

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