「非常識」な言い方が感じさせる、胸のすくような誠実さ

ここで言う「非常識」というのは
「大抵はこういう言い方をするよね」と思われているものがあり
それとは違ったものが出てきたことで衝撃を受けた、という意味で、
他にしっくりくる言い回しが見当たらなかったから使った言葉であって
否定的な意味合いを含ませているものではありません。

さて、先日、知人の結婚パーティーに出席したとき
以前一緒に仕事をしていた人と再会した。

常にまっすぐに全力で物事にあたるので
そのために人と衝突することもあるけれど、
嫌みのない、気持ちの良い人だったと記憶している。

今では生活の場所も仕事の分野もまったく違うので
こういう機会でもなければ二度と会わなかったかもしれない。

今の話や昔の話をしながらパーティーを楽しんで
さておひらき、となったとき
彼女は手を差し出し、握手を求めながらこう言った。

「じゃあ、もう一生会うことないと思うけど、元気でね」

うん、確かにそう思います。

今回も共通の知人の貴重な宴でたまたま再会できただけで
こんなことはもう二度とないんじゃないかな、と思います。

でもね、だいたいこういうときは
次の機会はないだろうな、とお互いに思ってはいても
「では、またどこかでお会いしましょう」などと
つながりを保とうとするものではないですか。

それなのにここで
「もう一生会うことないと思うけど」ときた。

ありもしない「またどこかで」を口にしそうになる自分は
何ていい加減な人間なんだろう。

冒頭で述べたような意味において非常識なこの言葉を聞いて
この人は、何て誠実な人なんだろう、と感じた。
本当に気持ちがよかった。

何かこう、やってみたいな。
もう一生会うことのなさそうな人との別れに
「もう一生会うことはないと思うけど、お元気で」というの。

誰かもう一生会うことのなさそうな人いないかなー。

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