日本語と英語の「勤務先」に表れる意識の違い

Facebook で「勤務先」に関する通知を見て思ったこと。

日本語だと

*****さんが勤務先にxxxxxを追加しました

で、英語だと

***** added xxxxx to his employers

になる。

日本語では「勤務先」という場所または空間との関係なのに対して
英語では “employer” という人あるいは人の集団との関係なのがおもしろい。

日本語ではよく「どこで働いてるの?」って言うけど
英語には “Who do you work for?” という表現もあるし。

まあそれを言うなら
英語でも勤務先を表すときに “works at” っていう表現が使われて
その場合は対象が場所になるし
日本語にも「雇用主」という言葉はある。
ただ、少なくとも上述の Facebook のメッセージのような場合
対象の表現が逆になることは少ないんじゃないかな。

このあたりのことがらに詳しくはないんだけど、
今の日本語の元になった言葉を使っていた人たちは
一定の場所で作物を収穫する暮らをしていて
「はたらく」ということが場所に強く結びついていたのではないかと思う。

それに対して、この英語の表現のもとになったのは
人と人との契約に基づいた労働という意識じゃないだろうか。
社会の仕組みが出来ていく過程のどこかで
働くというのは自分以外の何者かとの契約に基づくものになっていった。

その意識の違いが言葉にも表れてるんじゃないかな。

ただ、技術の進歩や社会の変化に伴って
定まった場所で働く必要のない人が増えてきているし
法人も含めた特定の誰かとの契約に基づかない働き方をする人も増えている。

これがもっと一般的になったとき
「勤務先」や “employer” に代わる新しい表現が生まれるのかもしれない。

あるいは本格的にそういう世の中になったら
こういった入力欄すらなくなるのかもしれないけど。

ともかく、今の時点でたくさんいるフリーランスの人が

勤務先: Freelance

と入力せざるを得ない仕様は何とかなるといいですね。

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