配達記録が廃止される件について

配達記録が廃止されるかもしれない。

時事ドットコム:配達記録郵便を廃止=事務効率化で−簡易書留は値下げ

郵便事業会社は25日、金融機関などが発行するカードの発送などに使われ、受取人に押印やサインを求める「配達記録郵便」の廃止認可を総務、国土交通両省に申請したと発表した。事務効率化のためで、認可されれば、11月17日で廃止する。

その代替措置がこれ。

代わりに、差出人に受領証を渡すが、郵便受けに配達する「特定記録郵便」を同日付で開始する。

それでは意味がない。まったくない。

この「特定記録郵便」というのは
配達記録より50円ほど安く提供されるとのことだが、
その価値の差はとても50円で埋まるものではない。

誤配の現状はどうなってるの

そもそも「郵政事業会社」は
郵便受けに投函されるタイプの郵便物が
どれくらい誤配されているかを把握しているのだろうか。

自分の郵便が他人の郵便受けに入っていたり
その逆があったりで
特にここ数年はかなり頻繁に起きているように思う。

ただし実態調査は難しいだろう。
不可能かもしれない。

誤配に気づいたということは
間違って配達された人が親切にも入れ直してくれたということであって
気づかれなかった場合や面倒だと思われた場合は
そもそもその郵便物の存在にすら気づけないのだから。

そう考えると
これまで記憶に残っているもの以外にも
たくさんあるんじゃないかという気がしてきた。
もう確認のしようもないが。

誤配は誰のせいか

郵便の人と話す機会があったので
この件について何とかならないのかと言ってみたのだが、
「なくなったら困るものを普通郵便で送る方が悪い」
という趣旨の回答だった。
言い方はもっと丁寧だったけど。

その回答自体は正当なものだと思う。
人間のすることだから間違いはあるし
現状の郵便料金ではそれが限界なのだろう。
と信じたい。

確実に届けたかったら、
それなりの料金を払ってそれなりの制度を利用するべし
というのは間違っていないように思う。
思いたい。

確実に届けるために

なので最近
届かないと困るものはすべて配達記録にしている。
少々余計に(210円)かかるが、
その郵便物が「なかったこと」になるより遙かにマシだ。

配達記録だと直接手渡しをしてもらえるので
たまたま泥棒が入っていて代わりに受け取ったとか
そういうことでもなければ確実に渡るだろう。

新制度は無意味

それに対して
今回の代替措置となる「特定記録郵便」では
まったく意味がない。

差し出したことの証明があっても
郵便受けに入れて終わりだから
「確かに配達した」と言われたらそれでおしまい。

これでは誤配があった場合
(そして現状を考えるとなくなるとはとても考えられない)
もうどうすることもできない。

簡易書留があるけど

もう一つの措置として

同時に、受取人に押印などを求め、一律5万円までの補償が付く「簡易書留」の同取扱料を350円から300円に引き下げる。

ということになったようだ。

簡易書留なら直接渡しでサインを取ってくれるから
目的にかなう。
ただし値下げ価格で考えて、配達記録より90円増し。

簡易書留には5万円までの補償がつくので
配達記録より手篤いのだが、
値段のついている商品ならともかく
たとえば契約書なんかは
そのものが金銭的価値を持つわけではないから
補償がついていても意味がない。

ということは値上がりと同じ

「特定記録郵便」では
郵便物を誤配から守るという目的を果たすことができないので
結局 配達記録が廃止されたら
簡易書留を使うしかなくなるが、
補償ぶんの掛金は無駄になるわけだから
実質的には配達記録が値上がりするのと同じだ。

もちろん補償込みで簡易書留を頻繁に利用する人にとっては
いい話だろうから
値上がりだと文句を言うのは個人のわがままかもしれないが。

ともかく、もうついでに勝手なことを言うなら
簡易書留の値下げではなくて
配達記録の値上げをしてくれた方がいっそすっきりする。

みんなどうしてるの

一般的には
なくなったらとっても困ると思われるものでも
普通郵便で送られてくることが多い。

いつも思う。誤配されたらどうするの。
誤配はそんなにないと思われているのか、
そもそも誤配の可能性なんて意識もしないのか。

絶対確実な方法なんてないから
もしかしたら届かないかもしれないという可能性については
もう考えないものとする
という前提なんだろうか。

過去に何度かそういう目に遭っているから
誤配を想定して郵便を送っているのだが、
こんなに気にする方が変なんだろうか。

なくなったら困る郵便物、みんなどうしてるんだろう

それはそうと

誤配された郵便物で
最も強く印象に残っているのは
クレジットカードの利用明細。

間違って別の部屋に配達されていたらしい。
一度開封された状態のものが郵便受けに入れられていた。

要するに間違って受け取った人が何気なく開封して
これは自分のではないと気づいてから
部屋番号をみて親切に入れてくれたわけだ。
利用記録は晒された状態だったが。

その人は間違いに気づいて
じろじろ見たりせずに
すぐ入れ直してくれたのだと思っているが、
利用明細を見ればいつどこで買い物をしたかがわかる。
何かとても人には言えないようなものを買ってたらどうしますか。

いや心当たりはないけど可能性として。

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17 Responses to “配達記録が廃止される件について”

  • よしのずいから

    2008/08/27 00:13

    [仕事] ものを送る時は

    配達記録が廃止される件について(頭ん中、2008/08/26) 誤配に気づいたということは 間違って配達された人が親切にも入れ直してくれたということであ…

  • 2008/08/27 17:01

    AliveZが好評?

    私は今まで事故未着などは経験したことがないですが、(気付いてないのは知らん)
    金額的に高いモノとかを送る時は配達記録を使う事が結構あります…

  • guo

    2008/08/28 01:31

    配達記録廃止なんてことが議論されてるなんて全く知りませんでした。
    自分も無くしてはいけない物、届かなかったら困るものは全て配達記録を使ってたのでこれはショックです。
    そこまで致命的な誤配はまだ経験してませんが、可能性としては非常に高いと思っているので自衛の意味で使ってる人も結構多いと思います。
    記事中にもありましたが、契約書に近い物や、重要な文書作成に必ず必要な資料などなど・・・
    法律に保護されて事実上独占してた(でしたよね?民営化されたとはいえ)立場にいるのにその決まりのほうを変えさせようとは図々しいにも程があるような気がするんですがどうなんでしょう?

  • 私もよく利用しますけど

    2008/08/28 05:10

    >ともかく、もうついでに勝手なことを言うなら
    >簡易書留の値下げではなくて
    >配達記録の値上げをしてくれた方がいっそすっきりする。
    そりゃ、普通に「値上げです」とは言いにくいでしょう。
    民間の営利会社なんだから。
    すっきりしないのは仕方ないですが、単に配達記録が値あがりするよりは補償もついた分ましと捉えるしかないでしょう。
    国民が大騒ぎした民営化ってこういうことなんですよ。

  • 効率化

    2008/08/28 09:37

    どこかにデータがあるか分かりませんけど、効率化、
    ってのが本当ならば、多分配達記録の差出件数が
    そんなに多くないということなのではないでしょうか。
    簡易の郵便局で、委託のおばちゃんがやってるような所だと
    配達記録をお願いしても書留と勘違いすることもありますし。
    でもそれなら特定記録郵便を新設する意味もないか……。
    書留に一本化したいけど値上げになるから、その批判が
    出ないようにする一時的な制度かも知れませんけど。

  • ななしさそ

    2008/08/28 11:36

    個人的には配達記録なるものは使ったこと無いので、正直どうでもいいかなという感じです。届かないと困るものを送るときにはゆうパックを使っています。各種申込用紙の送付には普通郵便しか使ったこと無いですが、今まで届かなかったことはないです。クレジットカードやキャッシュカードの送付は、今までは配達記録で届くことが多かったんですが、これは今後簡易書留になるんでしょうね。
    明細が勝手に開封されて…の件は、私はクレジットカードの明細などはオンライン(WEBなど)で確認するようにし、紙媒体の配達は可能な限り中止しました。普通郵便で送る限り、勝手に開封されるリスクは必ずあるわけで(自宅のポストを漁られたら終わり)、毎月の明細を配達記録や簡易書留で送ってたらコストが堪らないと思います(有料でそういうサービスがある分にはかまわないと思いますが)。

  • おかか

    2008/09/03 00:20

    これからは大事なものは宅配便で送るようになるんでしょうか。ヤマト運輸や佐川急便なら、位置確認もできますし…。
    「親展」の書類は郵便局しか運べないことになっていますが、これも怪しくなりますよね。

  • ろくでなし

    2008/09/07 20:09

    1995年当時、ヤマトなどの宅配便がカード宅配に進出することを発表し、それまで簡易書留で出されていたカード類が宅配便に取られることを恐れた当時の郵政省が急遽、新設したのが配達記録郵便制度。これによりカード会社の需要を奪われずに済んだのであるが、最初から採算割れの制度であったため、いずれは廃止しなければ事業の存続に関わる重大な問題であった。
    配達記録郵便は、配達の時点で受取人が不在だと郵便事業会社各支店に持ち帰り、受取人からの電話で再配達するが、特定記録郵便だと受取人が不在でも、郵便受け箱に配達できる。受取人の印鑑や署名がいらないからだ。配達の時点でバーコードの入力はするが。
    昨今のガソリン高は、膨大なバイクを所有する郵便事業会社の経営にも暗い影を落としている。少しでも再配達を減らし、バイクの走行距離を減らさなければならないそうだ。

  • ううむ

    2008/10/02 14:42

    考えさせられます。。。
    世間には機能が働いてないことが結構あるのですね。
    配達員がしょっちゅう変わる(=辞める人が多い)地域は不利ですね

  • Anonymous

    2008/10/02 21:51

    郵便局から、実施を来年3月まで延期って連絡がきました。
    認可自体を、3月1日からに変更して申請してるとか。
    まだ、ユーザーの反応次第では、変更の余地有り?

  • ななし@元郵便屋

    2008/10/16 00:12

    おはつです、元郵便配達員の観点からすると、
    ろくでなし氏が上で仰っているように、ヤマトさんが
    採算が取れずに撤退した時点でお解りの通り、
    完全に赤字事業なわけですよ。
    しかし、国民の利益を奉仕するという立場上、
    ヤマトさんとの競争に勝ったからと言って撤廃と
    いうわけにもいかず、サービスを提供し続けたわけです。
    1回配達先に伺って、在宅ならそこで終わりですが
    不在なら再度配達に伺わなければならず、1通290円
    程度で何回も配達していてはコストがかかりすぎるんですね。
    ちなみに、私の再配達最高記録は5回です。
    午前配→当日再配:午後14時~17時
    →翌日の午後14時~17時→翌々日の19時~21時
    →保管期間経過の為、差出人に返送前日の夜間配達
    最後の配達は、再配依頼がありませんがそれ以外は
    すべて受取人の依頼があったのに不在だったものです。
    これはほんの一部の人ですが、再配依頼を出して
    不在なんて約2割ぐらいはいました。
    コストは配達員の人件費とガソリン代だけではなく、
    電話を受ける人、郵便を保管場所から探す人、
    区域ごとに区分・郵便の通数を記録し配達員に渡す人と
    色々といるわけなんですね。
    再配が多くなってしまった日などで、不在が目立つと
    配達員が残業になり、電話の人以外は持ち出した通数と
    配達証・持ち戻り郵便をあわせた数を検査するために
    待機で残業です。
    再配達の約7割が利用されればされるほど赤字になる
    配達記録と言っても過言ではないです。
    これでは採算が取れません、国家公務員なら
    採算度外視でやりますが、民間企業になった以上
    赤字事業を切り捨てるのは当然だと思います。
    誤配に関して言えば、配達員に郵便商品
    (年賀はがき・かもめーる)を携行販売させたり、
    郵便物の集荷(後納、エクスパック)など配達以外の
    業務負担増加が最近の原因の1つになっていると
    思われます。
    ちなみに誤配をする人は、大概同じ人です。
    同じ人が同じ地域を配達し続けると、思い込みで
    ポストに投函してしまうんですよね。
    住所を見るとまったく違ったりするんですが、○丁目○-○
    苗字が同じ人が存在すると誤配される危険性大です。
    例えば、「石川県金沢市本多町3丁目3番地」までは機械で
    細かく並べており、最後の○号部分と住人を人が
    並べているんですね。
    組立てのメイトさんや配達員も○丁目○番地○号の
    佐藤さんまで合っていれば、組み込まれやすいわけです。
    たとえそれが里見町であったとしても、以下の住所と
    苗字が同じだと、思い込みで入れてしまわれやすいです。
    大体の配達員の誤配率は、半年に1回あるかないか
    程度ですが、一部の配達員が酷い人だと2週間に1回の
    ペースですることもあります。
    常習性がある配達員の場合、局内ではまたあいつか。
    ぐらいの空気ですので、配達担当局ではなく支社に
    報告すると抜群の効果があります。
    局長以下責任者全てが始末書程度では済まされない
    懲罰があるので支社の力は偉大です(笑)
    話が逸れました、スミマセン。
    ちなみに郵便局には転入・転居届が存在する為、
    配達先の情報が他社より優れていると思われるので、
    誤配の可能性は基本的に低く、登録されていない名前で
    あると、むやみやたらに投函せず普通郵便でも保管し、
    住人に確認していました。これが下記の+α部分です。
    結論
    ・配達記録の撤退は民営化した今、妥当である。
    ・特定記録郵便は、他社のメール便相当+α。
    ・誤配は配達員の確認不足によるもの、配達担当者に
     注意をして配達してもらい、それでも改善が見られない
     場合にあっては、支社へ報告。
    言い訳がましいですが、内部事情としてはこんな感じです。
    自身、オークション等利用しますので送料を安く済ませたい
    気持ちはよくわかります。
    が、貴重なものや高額なものは万一の郵送事故時、
    捜査にかかる時間等、リスクを考えれば送料をケチっては
    いけないと常々思いますし、本ブログ中で郵便配達員が
    仰っていた趣旨は的を射ていると思います。
    以上長文、乱文失礼致しました。

  • Anonymous

    2008/11/26 13:35

    受取人が送付方法を指定した上で依頼されて発送する場合や、郵便局留にして誤配を防げは、特定記録郵便でも利用価値があると思いますが…。

  • 2008/12/25 23:12

    配達記録郵便が廃止される件。

    FCのチケット発送手数料が100円アップするってんで、詳細をよく知らなかった為ちょっと調べてみた。

  • 2009/03/18 14:54

    配達記録郵便が廃止されていた;–

    家の事で最近
    ちょいちょい書類を送ることが多くなった
    今も母が「長3封筒は定形か?」と質問してきたので
    ちょうどがネットにつながっていたので

  • mori

    2009/03/18 15:06

    初めまして。今日(2009年3月18日です)配達記録郵便が廃止されていることに気付きました;^^
    この記事、非常にわかりやすくためになりました。
    有難うございます。
    私のブログの配達記録廃止記事からTBさせていただきましたので御挨拶まで。

  • 2009/03/24 16:41

    配達記録郵便廃止されました

    何かと普通郵便を出す機会があり、頻繁に郵便局には行っていたのですがまったく知りませんでした。

  • Anonymous

    2009/05/01 22:02

    「採算が取れないから廃止。だって民間だもん」という理由は納得できます。
    納得できないのは、「アナウンスのなさ」。
    頻繁に配達記録を出していたにもかかわらず、窓口担当者には全く教えてもらえず、HPへ行ってもトップに記事はなく、小さなリーフレットが窓口にちんまりと積んであるだけ。
    くどいくらいの年賀ハガキ購入呼びかけと比べ、故意に隠していたとしか思えない対応でした。