『白い仮説・黒い仮説』を読んだよ

日本実業出版社様から頂戴しました。
いつもありがとうございます。


白い仮説・黒い仮説

白い仮説・黒い仮説

竹内 薫 (著)



内容はこんな感じ。

  1. 健康か不健康か、それが問題だ
    1. マイナスイオンは体によいか?
    2. 何を飲まされているのか、わかったものではない
    3. 酒豪と下戸と助っ人のお酒
    4. アロマで記憶がよくなる?
    5. 血液型性格分類はウソかマコトか
    6. ホントはゼロじゃない話
  2. 数字に惑わされるな!
    1. どんなギャンブルが当たる確率が高いの?
    2. なぜ「誤差」を無視して、視聴率に一喜一憂するのか?
    3. 平均所得の人はホントは「平均」ではない?
    4. 北極には不思議がいっぱい!
    5. GPS衛星の時計はどれくらい遅れるか?
    6. 原発の「臨界」とは出力何パーセントのことか?
  3. 生命と進化からだまされない考え方を学ぶ
    1. 脳をスキャンすると人の「考え」が読める?
    2. ジョウシキ説からトンデモ説まで
      マンモス絶滅の話
    3. 逆クレブス回路が生命の起源?
  4. 地球と宇宙は白い仮説、黒い仮説の宝庫
    1. 近い将来、コンパスは北と南が逆を示す
    2. 宇宙に進化論をあてはめる人々
    3. ブラックホールと相対性の話
    4. 人間の時間から宇宙の時間へ

以前、同じ著者の
同じくタイトルに「仮説」とついた本を読んだ。


こちらはかなりの売れ行きを見せたようだが、

Amazon.co.jp ランキング: 本で2,883位 (本のベストセラーを見る)

各カテゴリー内でのランキング:

5位 ─   > 科学・テクノロジー > 科学読み物
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そのときは正直に申し上げて
「なんだこりゃ」と思った。

書かれている内容自体は興味深かったのだが、
語り方に違和感を覚えた。

科学者が言ってることはあくまで仮説なんですよ、
すべて真実と思わないでね、
という主張はもちろん「科学とは」を述べる上での大前提なのだが、
あまりにも「ぜんぶ仮説!」(1)を強調しようとしすぎたせいか、
話のもっていきかたにちょっと力業を感じてしまった(2)

今回の『白い仮説・黒い仮説』でも
「仮説」をテーマにしているのであはるが、
「ぜんぶ仮説!」感を強調するための本ではない。
あくまでどの程度確からしいか
(筆者は「グレー度」という言葉で表している)
という話が中心。

内容の落ち着き方からいって、
個人的には『白い仮説・黒い仮説』の方が好みだった。
目次にある項目のいずれかに関心があるようならオススメ。

残念なのは、筆者が

どうか、最後のエピローグだけは一読していただければ幸いです。私がこの本を書いた理由や本音を語っている部分です。

と言っているそのエピローグ。

「日本ではなぜ科学があまり注目されないのか」から始まって
科学との向き合い方に関する筆者の意見が述べられているのだが、
このエピローグを読んで印象に残るのはそこではなくて
「大槻教授をはじめとする人々」に対する筆者の心情の方。

「大槻教授をはじめとする人々」からずいぶんな目に遭わされたとのことで
筆者の心中は察してあまりあるのだが、
せっかくのエピローグにやや恨み節のメロディーを感じてしまった。

勝手なことを申し上げるようですが、
あそこがなければな・・・。

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