死なない生き物

知り合いの生物学者と話していて、
面白いことが話題になった。
ゾウリムシは死なない。
そう。
ゾウリムシは死なないのだ。
目の前にゾウリムシがいるとしよう。
目の前にいても見えないから、
顕微鏡で見るわけだが。
この個体を便宜上、Pと呼ぶ。
しばらくするとこのゾウリムシP
細胞分裂をして
二つのゾウリムシP’1P’2になる。
一つのゾウリムシが分裂をして二つになっただけだから、
P’1P’2
Pと同じものだ。
このとき、
P’1が活動を停止したらどうなるか。
ゾウリムシは死なない
片方が活動を停止しても、
もう片方は生きている。
P’2が生きている限り、
Pは生きていることになる。
最初にPが分裂し、
P’1P’2がさらに分裂し…
という過程を10世代ほど繰り返すと、
ゾウリムシの数は1024個になる。
数は増えているが、
これらはすべてPと同じものだ。
このうちどの個体が活動を停止したところで、
相変わらずPは生きている。
この世に存在するゾウリムシは
すべてこのような細胞分裂で生まれたものであるから、
絶滅しない限りは
どうやってもPは生き続けることになる。
この議論がわかりにくい場合、
最初に立ち返ってみるといい。
PP1P2に分裂したときに
で、Pはどっちなのか
というところから考えてみるとわかる。
ゾウリムシは死なない
続く

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