40時間半監禁された話 中編
2006年02月19日 14:50
しばらくすると、
その乗客は
当初の目的を達成して戻ってきた。
そして、バス乗り込むなり
こう叫んだ。
「セブンがあった!」
トイレを求めてさまよっている間に、
道を一本はずれたところにある
セブンイレブンを発見したという。
考えてみれば、
出発してから16時間ほどになるが
みなほとんど何も食べていない。
それはそうだろう。
8時間ほどで到着するという予定だったのだから、
持っている食料といえば
せいぜいポッキーやハイチュウくらいだ。
そんなときに聞いた「セブンイレブン」という響き。
「セブンか。」
「おにぎりだ。」
「お弁当だ。」
「いや、おでんだ!」
様々な思いを胸に、
ほぼ全ての乗客がバスから飛び出した。
そして、
セブンイレブンにたどり着いた我々が見たものは。
パンも、おにぎりも、弁当も、そしておでんも、
何一つ残っていない
淋しいコンビニエンスストアの姿だった。
冷静になっていれば、
予想はできたことだ。
周りにただ一つだけ建っているコンビニエンスストア。
大渋滞で身動きの取れない数十台の車。
売り切れるのは当然のことだった。
しかも、
補給のトラックは当然たどり着けない。
結局、
わずかに残っていたポテトチップスをぶら下げて
皆とぼとぼとバスに戻っていった。
しかし、このあたりから
我々の気持ちは
「いったいどうなるんだろう…」
という不安感から、
「なるようにしかならん。」
という諦めの境地に変わっていったような気がする。
地元のおじいさんと会話を楽しむ余裕も出てきた。
「わしゃあここに75年から住んどるが、
こがあな大雪は初めてじゃ」
(という内容を、長野の言葉で)
というのを聞いたとき、
この歴史的な場面に居合わせたことを
ありがたいとすら思えてきた。
しかし、それでも事態は好転しない。
先は見えない。
後も見えない。
出発してから20時間が経過。
2日目も暮れ始めていた。
(続く)
トラックバック











